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気になることの検証(耐力壁配置)

以前から木造構造計算をやっていて、気になることがありました。
外力に耐えるために耐力壁を入れていきますが、その配置は立面方向に対して、連続させる方が良いのか、千鳥配置が良いのか。
RC造やS造では、連続させると考慮しなければならない項目もあり、木造だとどうなのかなーとうっすらと疑問に思っていました。
で、ちょこっと検証。
まだ全部検証しきってはいませんが、例えば柱脚の引き抜き力はどうなるかを検証してみました。
ここでは、許容応力度計算としています。

連続させると、3~1階壁位置が連続するので、3階までの一枚の壁として作用します。横架材(梁材)でいったん力を受けて下へ流す、ということが無くなるので横架材は楽になりますが、柱脚は大きな引き抜き力がかかってきそうです。
一方、千鳥配置にすると、横架材によって力をいったん受け、下階へ流していきます。柱への力は分散されますが、横架材へは力が増えてきそう。ただ、柱脚の金物が増えるということは、木材特有のめり込み現象も起きますので、あまり良いことではありません。バランス、ですね。どちらがバランスが良いか。

壁位置を連続させる場合は、こんなモデルにしました。
4.55mx4.55mの正方形、3階建て、床は24mm合板根太レス、90x45筋交いたすき掛け、です。

柱脚の計算結果はこう。

隅部で50kNを超え、大きな引き抜き力がかかっています。HD-25が2本でも足りなくなる結果となっています。

次に、千鳥配置。
2階のみ910mmづつずらし、結果として耐力壁が両方向2枚づつ減っています。耐力上は問題ないようです。
屋根と床のD.L、L.Lはどちらのモデルも同じですので、T.Lは同一。下階へ流していく荷重は同じです。

柱脚の計算結果はこう。

すごく違いますね・・・・
一番引き抜き力の大きな隅部でも、HDB-20が2本で足りる計算になっています。
他の柱脚もT字角金物で足りています。

いやー、大分違いますね!
結果として、耐力壁の配置として、千鳥配置が構造的に無理の少ない配置、ということになりました。
一般論として、2階建てでも同じ話しです。上下階での耐力壁は同じ位置にせず、上下階でずらす方が、良い建物になりそうです。