このところ、市街化調整区域の案件を扱うことがあり、いろいろと揉めているといいますか、一筋縄で行かないケースがあったりして、この市街化調整区域に思うところがあります。
都市計画法では、主に都市計画決定されている地域では、市街化区域、市街化調整区域に分かれています。非線引き都市計画区域もあります。
市街化区域は一般的には用途地域が定められ、建築できる建物の用途、規模が制限されています。
これは、例えば良好な住宅を主に配置したい場合は住居系の用途地域を定め、音や臭気、不特定多数の交通の必要が無く、住まう人にとって過ごしやすい環境の形成を促進させるようにしています。商業系や工業系はそれぞれ商業施設、工業施設の誘致を進め、使いやすい環境を形成することを促します。都市施設もそれに伴い整備されます。
次に市街化調整区域。
これは主に農業の振興などを目的として、市街化を抑制するべき区域として定められています。
農業農家関連の施設、建物で一定のものは許可不要で建築できますが、一般の住宅などは特別な許可が必要です。
都計法29条許可や、都計法43条許可などです。他にも許可ではありませんが60条証明などもあります。
この29条許可、許可要件はいろいろとありますが、例えば区域指定という制度があります。
これは、市街化調整区域の中でも一定の地域は、市街化を認めても差し支えない区域として、建築主の出身者要件が無く建築の許可が取れる制度です。
市町村によって、一定の区域が元々定められていて、そこだけが区域指定されている、ということや、定められている区域は無く、要件を満たしていればよい所など、許可権者(通常は市町村)単位で異なっています。
これがなかなかすんなりと要件の整理がつかない。
人口減少が問題となっている現在、この市街化調整区域の制度が、人口増に対して足かせになっていると感じるところです。
都市計画法自体が元来、人口急増の時代にどのように乱開発を抑えるべきか、という視点で定められた内容となっているため、現在の人口を増やさなければならない観点からすると当然のように足かせになってしまうのです。
建築基準法は時代に合わせて運用を変え、法律の内容を変えて割と柔軟に変化していますが、都市計画法は旧態依然のままではないかと感じるところです。
ようやく空き家問題でその建物を利用する点で国も動き出していますが、パイが小さいために声が小さく、本腰を入れてーというところまでは号令が届いていない印象です。
私のところでも、深刻な後継者不足から空き家の管理すらままならないため、活用の提案をご依頼いただくケースも増えてきていますが、属人性なしの売却する提案は、そういったところからなかなか至らないこともあります。
属人性なしの売却(区域指定などの許可取得が可能)が可能であれば、土地自体の資産価値もある程度は確保できますので、空き家の利用を前提とした土地建物の売却を、ある程度の高値で事業者へ行うことも可能になるのではないかなと思うところです。
ただ、行政としても、あまり住宅が分散することも、インフラの維持コストは上がりますので望ましくはないのでしょう。このあたりはコンパクトシティの思想と反する部分ですので、難しいところです。
都計法のわかりづらさはなんとかならんかねーという愚痴的なつぶやきでした。