日本全国、空き家が増えてきています。
親世帯が住んでいて、相続したけど自分たちは家を持っている、或いは不便な場所なので住みたくはない、など、色々と事情はあるかと思います。
ただ、空き家のままの放置はお勧めしません。どんどん荒れて資産価値も減っていきますし、無駄に税金を払い続けることになります。
考えられるのは、そのまま売るか、解体して更地にして売るか、修繕して貸し出したり利用することかと思います。
もし売却する、という場合、古屋付きの土地だと解体費用が減額されて、比較的安い値段で手放すことになるので、解体して更地にしてから売却しよう、或いはそのように相談した不動産業者から勧められることがあるかもしれません。
ですが、更地にするのはちょっと待ってください!
用途地域によっては、
更地にしてしまうと売却先が限られてしまう場合もあります!
都市計画法では、まずおおまかに都市計画区域と都市計画区域外が定められています。
一般的な木造住宅を建てる場合、都市計画区域は確認申請が必要になり、都市計画区域外は確認申請が不要です。
銀行などで融資を受ける場合、適法に建築されて資産価値が無いといけませんので、都市計画区域ではまず確認申請が通ることと、完了検査が通ることが条件になってきます。
用途地域(住居系地域や商業系地域など)がある場合は更地にしても再建築は特に制限はありませんが、市街化調整区域の場合は注意が必要です。
確認申請では、建築基準法に基づいた審査が行われますが、この中の施行令第9条、建築基準関係規定で都市計画法が書かれているために、都市計画法に合致しているか審査がされます。
その許可として、地目が宅地でない場合は都市計画法第29条許可、すでに宅地の場合は都市計画法第43条許可、要件は揃っていそうだけど確認機関で判断できない場合は都市計画法施行規則第60条に基づく証明書が求められます。
色々と条件はありますが、この市街化調整区域内の建物を解体して更地にし、新築する場合は、厳しい属人性(建てる人に必要な要件)が発生する場合があります。これは、売却先がかなり限定されてしまうことを意味します。限定されれば買い手の候補が減り、
売りづらくなるために値段を下げて売却せざるを得なくなる可能性があります。
元々昔から住宅が建っていれば(都市計画決定する前から建っていること。線引き前から、と言います)、売却後に改築として扱え、属人性無に改築できる可能性があります。
これも証明する根拠資料の収集や調査、行政と綿密な打ち合わせを行わなければならないので、確実ではありませんが、属人性が無ければ売却先は用途地域がある地域とほぼ同等として考えられますので、売却価格は下げなくても良くなるかもしれません。
(ただし、建物の規模の制限、分筆できないなどの可能性もあります)
この取り扱いは都道府県単位、特定行政庁単位でも変わりますので、慎重に調査が必要です。
もちろんご相談される不動産業者で詳しい方もいるかもしれませんし、その地域の市街化調整区域の取り扱いに知見のある建築士に相談することが良いでしょう。
もうひとつ、
更地にすると、固定資産税が上がります!
これは一般的によく語られている話しですが、きちんとした理由があって、本当の話しです。
小規模住宅用地の減額の特例という制度があります。敷地面積一戸当たり200㎡の閾値はあるものの、 200㎡ 以下で1/6、 200㎡ 以上でも1/3になっています。
詳しい制度の解説は検索すればいくらでも出てきますので割愛します。
この特例があるがために、放置空き家が増える一因となっている部分もありますが、更地にしてしまうと固定資産税が上がります。
こうなると、もし空き家状態の土地建物を相続した場合、資産の運用の観点でも、
1.自分で運用する。(貸家など)
2.更地にせずになるべく早く中古住宅としての価値があるうちに売却する。
上記2つのいずれかをお勧めします。
ただ持っていても固定資産税を払い、そのまま古くなれば中古住宅としての価値を失い、雑草などの管理の負担も増え、不法侵入者による失火の恐れもあり、と、良いことはありません。
思い出が詰まった住居を手放すというのもなかなか決断しづらいことかもしれませんが、決断が遅れれば遅れるほど、結果的に経済的、時間的損失が増えることは間違いありません。
運用でお困りであればご相談に乗れますし、状態や場所によっては、当事務所で
一定期間定額で借り上げて運用し、資産価値をある程度保ったままご返却や、売却のお手伝いもいたします。
空き家があってどういう方向の活用をしようかとお悩みの際は、是非ご相談下さい。