解体はちょっと待ったほうがいいケースがあります。
他県も同様の内容があるかと思いますが、市街化調整区域に古屋付きの土地をお持ちの方は場合によっては建て替え等行いやすくなるケースがありますので、ご留意いただければと記事にしてみます。
都市計画法上、日本ではまず大きく分けて二つ、都市計画区域と都市計画区域外があります。
都市計画区域は更に二つに分かれ、都市計画区域でも線引き区域と非線引き区域があります。非線引き区域は用途地域を定めることができます。
茨城県では線引き区域と非線引き区域のこの両方があります。
この都市計画区域では、市街化区域と市街化調整区域に分かれ、市街化区域では用途地域が定められ、基本的に用途地域に合う用途の建物であれば誰でも建築することができます。
もう一つ、市街化調整区域があります。ここは「調整」という名前で市街化を抑制して農林水産業を振興すべき地域となっていて、一定要件の職種、一定の出身要件を持っている人でないと建築ができません。個別に行政の許可が必要になってきます。
この一定の要件がなかなか満たせないために、土地利用が制限されて、なかなか
この調整区域内の古屋付きの土地の買い手がつかないケースが散見されます。
ただし、古屋付きの土地であれば、住宅についてであればこの一定の出身要件が不要で建築できる(改築となります)ケースがあります。
これは、茨城県であれば、茨城県建築基準関係資料集のP.211、都市計画法の規定に適合していることを証する書面の取り扱い、に一応載っていますが、要約すると、
1.線引き前から増改築の対象となる建物が現在も建っていて、
2.線引き前から土地の分筆合筆がない
この二つが揃っていれば、人的要件無しに改築できます。
「改築」だろう?と思われるかもしれませんが、建築基準法上では改築とは、建築物の全部または一部を取り壊したり、用途・規模・構造がほぼ同じものを建てること、となっています。また、材料の新旧は問いません。茨城のローカルルールでは、従前が平屋で改築後が2階建てなどの場合でも認められるケースが多いです。流石に構造種別(RC造、S造、W造)が違うと難しいかもしれませんが・・・・
1.線引き前から増改築の対象となる建物が現在も建っていて、
については、線引き前の確認申請資料が残っているケースは少ないので、市町村の課税証明と建物謄本で併せて証明することが一番証憑としては良いかと思います。課税証明にはいつから課税されたか、建物謄本ではいつ登記されたか、おおよそ建物の形や面積がどうかが記載されています。線引き前からの建物だと未登記のケースもありますので、その場合は課税証明が拠り所になると思います。
「いつから」で線引き前から存続していることがわかればまず一つクリアです。
2. 線引き前から土地の分筆合筆がない
については、土地謄本で確認を行ないます。
土地謄本を取得すれば、いつどこの地番から分筆したか、合筆したかがわかります。この分筆合筆が線引き前にされたまま存続していればクリアです。
場合によっては道路拡幅工事のために分筆しているケースはありますが、この場合は公共事業によっての分筆なので、この場合は大丈夫です。
線引き後に分筆していてその土地が線引き前から建物の土地として利用されている土地に合筆している場合は、閉鎖謄本で追って確認します。
上記2点が揃えば、晴れて人的要件無しに改築できる可能性が高まりますので、一応建築確認を出す予定の機関に相談して確認を行なってください。
問題なければ、誰でも改築要件で土地利用ができますので土地の売却もしやすくなると思います。
ただ、建物を解体して滅失している場合は改築とはらななくなって新築扱いとなってしまうため、この要件が使えなくなる可能性がありますので注意してください。
場合によっては、調べても一部あやふやな可能性があります。
その場合は、線引き前から現在までの航空写真で土地の利用状況を調べ、行政が60条証明が出せるかや、相談記録簿や相談番号等で対応可能かなどで整理がつくこともあります。
古屋つき土地の取り扱いについては、特にこのローカルルールを熟知している建築士や行政書士に相談されることをお勧めします。
出身者要件がある土地と、出身者要件が無い土地では、売却のしやすさが全く変わってきます。そういった意味でも、セカンドオピニオンとして当事務所のようにコンサルタント業務も行っているところにもご相談いただければと思います。
恐らく、それでも解体を勧めてくる 不動産屋さんはも居ると思います。
不動産屋さんの片手の仲介手数料は3%+6万円です。
500万円の土地だけであれば片手で21万円ですが、古屋付きだと解体費用分引いた金額で売買するケースが多いので、200万円の解体費用として売買価格は300万円、不動産屋さんは15万円になります。両手になれば12万円も差が出ます。
つまり、解体している方が不動産屋さんの利益は大きくなるため、 必然的に解体を勧めてくるケースが多くなるのはこうした理由です。
人的要件が無い=古屋付きのまま、の方が早く売却することができる可能性が高まりますので、こういったことの想定もしておいたほうが良いかもしれません。