なんと、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(以下「旧ガイドライン」)調査ですが、は令和7年4月1日をもって廃止になるようです。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_fr_000061.html
こちらに記載があります。
こちらでは、「本ガイドラインは、既存建築物の増築、改築、移転、大規模の修繕・大規模の模様替(以下「増築等」)をしようとする場合に、建築士が当該建築物の建築基準法令の規定への適合状況を調査するための手順、方法等を示すものです。」とあり、今までは国に届出を行なった第三者機関のみができるガイドライン調査について、建築士ができるようにする、ということになったようです。
それに伴い、旧ガイドラインについては令和7年3月31日までとなり、それ以降は上記の「既存建築物の現況調査ガイドライン」(面倒くさいので以下新ガイドライン)に統合・一本化されます。
先日の、茨城県木材協同組合連合会主催の講習会に参加していなかったら、またそこで質問をしていなかったら、現時点で知り得ていなかったことでした。
恐らく、旧ガイドライン調査を利用すると、木造の住宅ぐらいであっても是正前調査、是正後調査などで、そこだけで80~100万円程度が必要になるため、中大規模建築物であればペイできますが、戸建て住宅のストック活用をしようとしたときに、その負担が大きいので結果ストック活用が進まない状況になっていた側面もあったかと思います。
建築士が新ガイドライン調査報告書を作成することができるようになるわけですが、正直な話、どうなんだろう?と思うところもあります。
過去の法令を丹念に調べていく、というのはかなり骨の折れる仕事でして、ある意味第三者機関へ投げられる状況は楽ではありました。法文の解釈の違いで涙を飲む状況も多々ありましたが、調査立会時の調査者の調査方法であったり、報告書のその調査と解釈についても関心できることも多いです。
自分がやる場合にどうか?と考えると、手間と責任を考えると、あまり安くも引き受けられないかな、というところが正直なところ。
4号特例縮小に合わせ、大規模な修繕模様替え(いわゆる過半のリノベ)で建築確認が必要になる場合に、完了検査済みを受けていない既存部分がどうか?という点について、特定行政庁によってはガイドライン調査を受けることが必須との返答がされることもありましたが、ここは建築士のみの対応で完結する、というところでしょう。
併せて目を引いたところが、
「既存建築物の確認審査等の円滑な運用について(技術的助言)」(令和6年12月6日付 国住指第318号)
こちらの、
2.検査済証の交付を受けずに建築された建築物の増築等に係る確認審査等の運用に
ついて
法第7条等の規定により建築主が工事を完了した際に完了検査を受検し、検査済
証の交付を受けなければならなかったにもかかわらず検査済証の交付を受けてい
ない場合、当該建築主が当該規定に違反していることは言うまでもないが、検査済
証が交付されていないことのみをもって、直ちに、当該工事に係る建築物に対して
特定行政庁による違反建築物に対する措置が必要であると判断されるものではな
い。
また、当該建築物において建築基準法令の規定(既存不適格である規定を除く。)
に適合しない部分がある場合であっても、当該部分を含む計画建築物全体を建築基
準関係規定に適合させる増築等について、建築主事、建築副主事又は指定確認検査
機関による建築確認・検査を受け、適法に増築等を行うことが可能であることから、
必ずしも、確認審査等の前に特定行政庁において当該建築物が違反建築物であるか
否かを確定することを要しない。なお、このことは当該建築物が違反建築物である
ことを特定行政庁が確知している場合において、特定行政庁が違反是正の措置を講
じることを妨げるものではない。
この一文です。違法か既存不適格かは問わず、適法になるんだから目くじら立てんなよ、という内容です。違反を既に把握されている場合は、是正工事+12条5項報告かもしれませんが・・・・
恐らく、昔の建物は完了検査を受けているものはまれなので、そういった建物をリノベする場合、
建築士による新ガイドライン調査報告書+リノベ確認申請
↓
建物全体の是正工事及びリノベ
↓
完了検査
これが可能になります。完了検査を受けていなかった建物が合法な建物になるわけです。金融機関の融資も可能になるわけですね。
といったところで4号特例縮小がありすが、接道さえ満たしていれば、新ガイドライン調査+リノベ確認申請で銀行融資も可能になりそうな道筋が見えてきた、という内容でした。
お待ちいただくことと安くはできませんが、そういった業務もお引き受けできますので、何かの折にお問合せいただければ幸いでございます。